親が亡くなり、地方の実家を相続する。
しかし、自分はすでに別の地域に自宅を持っている。
子どももその家に住む予定はない。
売ろうと思っても、すぐに買い手が見つかるとは限らない。
こうして、
「誰も住まないが、とりあえず持っておく家」
が生まれます。
空き家というと、固定資産税だけを考えがちです。
しかし実際には、
固定資産税 火災・災害への備え 草刈り 庭木管理 建物修繕 台風後の確認 換気・通水 現地までの交通費 家財処分 最終的な売却または解体
などが関係します。
一つ一つは小さな負担でも、10年、20年、30年と積み重なれば話は変わります。
この記事では、御宿町、勝浦市、いすみ市など外房を念頭に、
「誰も住まない実家を30年間持ち続ける」という選択が、どのような管理と費用を意味するのか
を考えます。
最初に結論~「使わない家を持っているだけ」でも費用は発生する
結論からいえば、
将来自分も子どもも利用する予定がない地方の実家を、明確な目的なく30年間保有することには相応の費用と管理責任が伴います。
しかも問題は固定資産税だけではありません。
家は誰も住まなくても、
屋根は劣化します。
外壁も傷みます。
庭の草は伸びます。
樹木も成長します。
台風も来ます。
設備も古くなります。
つまり、
人が住まない =維持費がなくなる
ではありません。
一方で、
「地方の家は必ずすぐ売るべきだ」
とも言えません。
将来住む可能性がある。
定期的に利用している。
賃貸や事業利用の可能性がある。
土地として価値がある。
家族にとって重要な拠点である。
こうした場合には保有する合理性があります。
重要なのは、
30年間持つことによって何を得るのか、そのためにいくら支払い、何回管理し、最後にどう処分するのか
を考えることです。
千葉県でも空き家は増えている
2023年の住宅・土地統計調査によると、千葉県の空き家は39万4,100戸でした。
2018年と比べて1万1,600戸増えています。
このうち、賃貸・売却用住宅や別荘などを除いた「その他の空き家」は15万8,500戸で、2018年より1万4,100戸増加しました。
さらに千葉県の2023年調査では、世帯が所有している空き家のうち、約8割が1990年以前に建築された住宅です。
つまり相続する段階で、
築30年 築40年 築50年以上
という住宅も珍しくない構造になっています。
これは重要です。
30年間保有する場合、
築40年の家 ↓ 30年後には築70年
になります。
「現在まだ使える」という状態と、
「30年間、大きな修繕なしに維持できる」
ことは別です。
外房でも空き家対策が行政課題になっている
いすみ市は2026年に空家等対策計画を策定しています。
市は、人口減少や住宅・建築物の老朽化によって使用されていない住宅が増え、適切に管理されない空き家が防災、防犯、安全、環境、景観などへ悪影響を及ぼすことを課題として挙げています。
御宿町でも2026年度予算に空き家対策実態調査が計上され、空き家家財等処分への支援も継続されています。
したがって、
「地方の実家を誰も使わなくなった」
という問題は、個々の家庭だけの問題ではありません。
同じ状態の住宅が地域全体で増えれば、
景観 防災 草木管理 防犯 土地利用
にも影響します。
相続した家は「放っておけばよい財産」ではない
2024年4月1日から相続登記が義務化されています。
不動産を相続によって取得したことを知った人は、原則としてその取得を知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。義務化前に発生した相続についても対象です。
つまり、
「親名義のまま何十年も置いておく」
という従来見られた対応は、現在の制度ではそのままにできません。
相続した時点から、
誰が所有するのか 誰が税金を支払うのか 誰が管理するのか
を明確にしておく必要があります。
管理状態が悪ければ固定資産税にも影響する可能性がある
住宅が建っている土地には、一定の要件のもと固定資産税などの住宅用地特例があります。
しかし2023年の空家法改正により、放置すれば特定空家になるおそれがある住宅を「管理不全空家」として市町村が指導・勧告できる仕組みが設けられました。
管理不全空家や特定空家について勧告を受けると、敷地に対する住宅用地特例を受けられなくなる場合があります。
したがって、
建物を残しておけば税金が安いから、管理せず残しておく
という考え方にも注意が必要です。
家を残すなら、
残すこと自体ではなく、適切に管理すること
が必要です。
実家維持費をどう考えるか
本記事では、
実家維持総費用 =税金 +保険等 +修繕 +草刈り・庭木管理 +現地管理・交通 +家財管理 +最終処分費
として考えます。
これは公的な公式指標ではなく、30年間の負担を整理するための概念式です。
重要なのは、
年間いくらか
だけではありません。
30年間の総額で考えることです。
固定資産税は毎年発生する
住宅と土地を所有している限り、原則として固定資産税の対象になります。
実際の税額は、
固定資産評価額 住宅用地特例 土地面積 建物の評価
などによって大きく異なります。
したがって、
地方の一戸建てなら年間○万円
と一律には言えません。
まず確認すべきなのは、親が毎年支払っていた固定資産税額です。
仮に年間5万円なら、
5万円 × 30年 =150万円
です。
年間8万円なら、
8万円 × 30年 =240万円
になります。
この段階ですでに、
「年間ではそれほど高くない」
と
「30年間でも小さい」
は違うことが分かります。
火災保険・災害への備えも考える必要がある
外房では台風や強風、豪雨などによる住宅被害も考える必要があります。
ただし、空き家については住宅の利用状況や保険会社の商品によって契約条件が異なるため、現在の住宅用火災保険がそのまま継続できるとは限りません。
そのため相続後には、
現在の契約を継続できるか 空き家扱いになるか 補償範囲はどうなるか
を保険会社へ確認する必要があります。
保険へ加入するにしても、加入しないにしてもリスクは残ります。
加入すれば保険料が発生します。
加入しなければ台風などによる損傷を自己負担する可能性があります。
草刈りは30年間続く
地方の実家で意外に大きな負担になるのが庭と敷地です。
家そのものを使用しなくても、
草 竹 庭木 生垣
は成長します。
例えば年2回草刈りを行うとすると、
30年間で、
2回 × 30年 =60回
です。
年3回なら90回です。
本人が行えば業者代はかかりません。
しかし、
現地までの交通費 作業時間 草刈り機 燃料 刈った草の処理
などが必要です。
年齢を重ねれば、自分で続けられなくなる可能性もあります。
自分で草刈りするから無料、とは限らない
例えば東京や千葉市などから外房の実家へ年4回管理に行くとします。
往復交通費と車両費を仮に1回5,000円としても、
5,000円 × 4回 =年間2万円
です。
30年間では60万円です。
さらに往復と作業に毎回半日から1日使う場合、時間負担も発生します。
家族が行えば、
行政支出でも 業者費用でも
ありません。
しかし、
家族の労務費がゼロという意味ではありません。
墓地管理や自治会作業と同様、空き家管理でも「無償労働」が見えにくい費用になります。
住宅は誰も住まない方が傷みにくいとは限らない
空き家では、
換気不足 湿気 設備の不使用 漏水発見の遅れ 害虫・小動物 雨漏り発見の遅れ
などが問題になります。
特に重要なのは、
故障が発生すること
だけではなく、
故障に気づくまで時間がかかること
です。
居住していれば小さな雨漏りに早く気づけても、数か月訪問しない空き家では発見が遅れる場合があります。
そのため、誰も住まない家だから管理しなくてよいのではなく、誰も住まないからこそ定期確認が必要になります。
30年間なら大規模修繕を考えない方が不自然
相続時点ですでに築年数が経過している住宅なら、30年間の間には、
屋根 外壁 雨どい 給湯設備 水道設備 電気設備 床 建具
などの修繕が必要になる可能性があります。
もちろん、実際にどの工事が必要になるかは住宅ごとに異なります。
ここで重要なのは、
毎年修繕費が発生する
ということではありません。
ある年に、
20万円 50万円 100万円
とまとまった支出が発生する可能性があるということです。
30年間の費用を考える場合には、
年間維持費
とは別に、
大規模修繕予備費
を考えておく必要があります。
30年間の仮想モデルを作ってみる
ここでは実際の市場価格ではなく、費用構造を理解するための単純な仮想モデルを作ります。
ケースA~比較的管理負担が小さい家
年間固定資産税 3万円 年間保険等 1万2,000円 年間草刈り等 1万円 年間現地管理等 1万円
30年間の経常費用は、
(3万円+1万2,000円+1万円+1万円)×30年 =186万円
さらに30年間の修繕・最終処分等として120万円を仮定すると、
合計306万円
になります。
ケースB~標準的な仮想例
年間固定資産税 5万円 年間草刈り等 3万円 年間保険等 1万5,000円 年間交通・管理 2万円
30年間で、
(5万円+3万円+1万5,000円+2万円)×30年 =345万円
さらに修繕・家財処分・最終的な解体等を合計180万円と仮定すると、
約525万円
になります。
ケースC~広い敷地・管理負担が大きい例
年間固定資産税 8万円 年間草刈り等 6万円 年間保険等 3万円 年間交通・管理 5万円
30年間の経常費用は660万円です。
さらに修繕・最終処分等として250万円を仮定すると、
約910万円
になります。
これらは実際の外房の住宅について調査した平均値ではありません。
あくまで、
小さな年間費用でも30年間積み上げると数百万円単位になり得る
ことを示すための仮想計算です。
実際には、固定資産税、敷地面積、建物状態、草刈り方法、交通距離、解体条件などによって大きく変わります。
「年間10万円程度だから大丈夫」では判断できない
例えば年間維持費が10万円なら、
10万円 × 30年 =300万円
です。
年間20万円なら600万円です。
さらに最後に、
家財処分 測量 仲介 登記 解体
などの費用が加わる可能性があります。
したがって、
年間支出
だけではなく、
30年間のLCC(Life Cycle Cost・取得から処分までの総費用)
として見る方が合理的です。
相続の場合には取得費がゼロに見えやすいため、この視点が特に重要です。
相続したから「無料で家を手に入れた」とは限らない
親から住宅を相続すると、購入代金は支払いません。
そのため、
無料でもらった家
のように感じることがあります。
しかし経済的には、
購入価格0円 =保有費用0円
ではありません。
むしろ相続後に誰も利用しない場合、
収益を生まない資産に対して、
税金 維持管理 修繕 時間
を投入し続ける状態になります。
重要なのは、
取得価格
ではなく、
将来キャッシュフロー
です。
家の価値と土地の価値を分けて考える
地方住宅では、
家屋そのものにはほとんど市場価値がなくても、土地に一定の価値が残る
場合があります。
反対に、
土地は広いが需要が少なく、売却まで長期間かかる
場合もあります。
そのため、
固定資産税評価額がある =その価格で売れる
ではありません。
不動産会社へ査定を依頼し、
実際にいくらなら売れそうか どの程度の期間が必要か 古家付きで売れるか 解体が必要か
を確認することが重要です。
「将来値上がりするかもしれない」で30年間保有するリスク
不動産には将来価格が上昇する可能性もあります。
しかし人口減少地域で、
いつか高く売れるかもしれない
だけを理由に、30年間維持費を支払う場合には慎重な判断が必要です。
例えば30年間で維持費500万円を支払い、
現在300万円で売れる土地が、
30年後に500万円で売れたとしても、
単純には利益とはいえません。
途中の維持費や管理労務を考える必要があるからです。
不動産投資として考えるなら、
将来売却価格
だけでなく、
保有期間中のキャッシュフロー
を見る必要があります。
売れないなら持つしかない、とは限らない
地方の実家について、
「売れないから仕方なく持っている」
という状態もあります。
しかし売却価格を高く設定しすぎている可能性もあります。
例えば、
500万円なら買い手がいない。
300万円ならいる。
100万円ならいる。
ということもあり得ます。
このとき、
500万円で売れるまで10年間待つ
ことと、
300万円で早期に売却する
ことでは、維持費を含めると結果が変わります。
仮に年間維持費20万円なら、
10年間で200万円です。
500万円で10年後に売るより、
300万円ですぐ売る方が、
少なくとも単純な維持費だけを見れば同程度になる場合があります。
つまり、
売却価格だけではなく「売れるまでの時間」も価格の一部
として考える必要があります。
空き家バンクという選択肢もある
空き家を市場へ出す方法として、市町村などが関与する空き家バンクもあります。
国も全国版空き家・空き地バンクなどを通じ、空き家の流通や活用を促進しています。
ただし、
空き家バンクへ登録する =必ず買い手が見つかる
ではありません。
住宅の状態 立地 価格 交通 修繕必要性
によって需要は変わります。
重要なのは、
「いつか考える」
のではなく、
相続後比較的早い段階で市場へ出した場合に需要があるか確認すること
です。
空き家は時間が経てば売りやすくなるとは限らない
住宅が古くなれば、
雨漏り 腐食 設備故障 庭木繁茂
などによって状態が悪化する可能性があります。
千葉県の世帯所有空き家の約8割が1990年以前の建築であることを考えても、既存空き家の老朽化は重要な問題です。
例えば、
相続時ならそのまま使える家
でも、
10年間無人 ↓ 修繕が必要 ↓ 20年間無人 ↓ 建物利用が難しい
となる可能性があります。
つまり、
何もしない
ことも一つの選択ですが、
時間の経過によって選択肢が減る可能性
があります。
家財を残したままにする問題
実家を相続すると、
家具 衣類 食器 本 仏壇 写真 農機具 家電
などが残っている場合があります。
これらの整理にも時間と費用がかかります。
御宿町では2026年度も定住促進策の中で空き家家財等処分への補助を予算化しています。
これは逆に言えば、
家そのものだけでなく、
家の中に残った物の処分も空き家活用の障害になり得る
ということです。
相続直後は親の物を捨てにくくても、20年後には自分自身も高齢になっています。
大量の家財整理は、できる時期に進めた方が負担は小さい場合があります。
解体すればすべて解決するのか
建物を取り壊せば、
雨漏り 建物倒壊 建物修繕
などの問題はなくなります。
しかし、
土地は残ります。
草刈りも必要です。
土地の固定資産税も残ります。
さらに、住宅がなくなることで住宅用地特例が適用されなくなり、土地の固定資産税等の負担が変わる可能性があります。
したがって、
家を壊す =その後の費用がゼロ
でもありません。
解体する場合には、
解体費 その後の土地管理費 税負担 土地売却可能性
を一緒に確認する必要があります。
管理しないまま残すという選択肢はリスクが大きくなった
現在の空家法では、特定空家になる前段階の「管理不全空家」についても自治体が指導・勧告できます。
勧告を受ければ住宅用地特例が外れる可能性があります。
つまり、
使わない 売らない 壊さない 管理もしない
という状態を長期間続けることは、制度上もリスクが高くなっています。
相続した時点で四つに分類すると分かりやすい
実家を相続したら、まず将来用途を次の四つに分けると判断しやすくなります。
1.自分または家族が住む
明確な利用予定があるなら維持する意味があります。
ただし、予定時期とそれまでの管理費を考えます。
2.定期的に利用する
別荘、帰省拠点、仕事場などとして実際に利用する場合です。
利用価値と維持費を比較します。
3.貸す・活用する
賃貸、事業利用などです。
改修費と需要を確認する必要があります。
4.誰も利用する予定がない
最も慎重に考えるべきケースです。
明確な利用目的がなければ、
売却 譲渡 解体後売却
なども早期に比較した方がよいでしょう。
「子どもがいつか使うかもしれない」は確認した方がよい
親世代が、
この家は子どもへ残してあげたい
と考えていても、
子ども側が必要としているとは限りません。
仕事がある。
自宅を所有している。
配偶者の生活圏がある。
子どもの学校がある。
こうした事情があります。
したがって、
先祖代々の家だから残す
だけではなく、
次の世代が本当にその資産を必要としているのか
を確認することが重要です。
必要としていない住宅を、
税金 草刈り 修繕
と一緒に引き継がせることは、
資産承継
ではなく、
管理義務の承継
になる場合があります。
「家を残すこと」と「家族の思い出を残すこと」は別
実家には家族の歴史があります。
そのため売却や解体を、
親を忘れること
のように感じる場合があります。
しかし、
思い出を残すこと ≠ 建物を永久に所有すること
です。
写真。
家具の一部。
仏壇。
記録。
土地の歴史。
残す方法はいくつもあります。
これは墓地管理にも似ています。
先祖を大切にすることと、
子孫が永久に物理的管理を続けること
は分けて考えることができます。
30年後、自分自身も30歳年を取る
実家を相続する時点で50歳なら、
30年後は80歳です。
60歳なら90歳です。
現在なら、
草刈りできる。
車で行ける。
屋根を確認できる。
家財を運べる。
としても、30年間同じことができるとは限りません。
つまり、
家の老朽化だけでなく、管理者自身の高齢化
も考える必要があります。
これは非常に重要です。
今管理できるから、
30年間管理できる
ではありません。
管理を子どもへ引き継げばよいのか
自分ができなくなれば子どもへ任せればよい、という考え方もあります。
しかし、
子どもが遠方に住んでいる 本人が利用する意思がない さらに孫世代は地域との関係が薄い
という可能性があります。
すると、
祖父母 ↓ 親 ↓ 子
と、誰も住まない住宅の管理だけが承継されます。
この構造をどこかで止めなければ、
所有者数が増えたり、
意思決定が難しくなったり、
処分がさらに困難になる可能性があります。
最も避けたいのは「誰も判断しないまま30年」
実家問題でリスクが高いのは、
残すと決めること
でも、
売ると決めること
でもありません。
何も決めないまま時間だけが経過すること
です。
その間にも、
建物は古くなる。
庭は伸びる。
所有者も高齢になる。
相続人も増える。
地域人口も減る可能性があります。
30年後の方が処分しやすくなる保証はありません。
30年間持ち続けやすい家
保有する合理性が比較的高いのは、
将来利用予定が具体的 定期的に使用している 土地需要が一定程度ある 建物状態がよい 敷地管理が容易 近隣に管理を依頼できる 年間維持費を十分負担できる
住宅でしょう。
「いつか使うかもしれない」ではなく、利用目的が明確であることが重要です。
30年間持ち続けにくい家
反対に、
誰も住む予定がない 遠方にある 庭や敷地が広い 建物が古い 定期的な台風被害が心配 売却需要が小さい 子どもも不要と言っている 管理者自身が高齢
という条件が重なるほど、長期保有の合理性は低くなります。
特に、
利用価値ゼロ+維持費あり+管理労働あり
という状態を何十年も続けることには慎重な検討が必要です。
判断するときのチェックリスト
実家を相続した場合、次の項目を確認するとよいでしょう。
・年間固定資産税はいくらか ・現在の建物築年数は何年か ・30年後には築何年になるか ・火災保険等を継続できるか ・年間何回草刈りが必要か ・庭木管理が必要か ・自分で管理できるのはあと何年か ・管理を外注すると年間いくらか ・自宅から実家までの往復費用はいくらか ・年間何回現地確認が必要か ・雨漏りや外壁修繕が必要か ・家財はどれだけ残っているか ・現在売却した場合の査定価格はいくらか ・古家付きで売れるか ・土地だけなら売れるか ・賃貸需要はあるか ・子どもは本当に相続したいか ・解体費用はいくらか ・解体後の土地管理費はいくらか ・10年後に売る合理的理由があるか ・30年間保有して何に利用するのか
最後の質問が最も重要です。
「30年間で何に使うのか」を言葉にできるか
例えば、
毎月利用する。
10年後に移住する。
子どもが住む。
賃貸する。
という具体的用途があれば、維持費は利用価値を得るための支出です。
しかし、
特に使わないが何となく残しておく
場合には、
30年間の費用を何のために支払っているのか
を考える必要があります。
現実的な結論
地方の実家を相続しても誰も住まない場合、その家を持ち続けること自体は可能です。
しかし、
固定資産税だけ払えばよい
という問題ではありません。
草は伸びます。
家は老朽化します。
台風も来ます。
現地確認も必要です。
最後には、
売る 譲る 壊す
という判断も必要になります。
仮想モデルではありますが、本記事の例では30年間の総負担が約300万円から900万円程度になるケースを示しました。
これは外房住宅の平均費用ではありません。
重要なのは金額そのものではなく、
年間数万円から数十万円程度に見える管理費でも、30年間では大きな金額になる
という構造です。
そして金銭以上に見落とされやすいのが、
管理する人の時間
です。
相続した人自身も30年間で30歳年を取ります。
現在できる草刈りや遠距離運転を、30年後にもできるとは限りません。
人口減少地域では、
人が減っても住宅はすぐには減りません。
これは、このブログで繰り返し扱っている、
人口が減る速度と管理対象が減る速度は一致しない
という問題そのものです。
墓。
自治会。
ごみ集積所。
道路。
そして実家。
いずれも、
人が減っても管理対象だけが残る
可能性があります。
だからこそ、地方の実家についても、
「どうやって次の世代へ残すか」
だけではなく、
「次の世代へ管理する必要のない状態で渡せないか」
を考える必要があります。
家を残すことが目的ではありません。
家族が必要な資産を残すことが目的です。
誰も利用しない住宅については、
30年間持ち続ける費用と、
今整理する費用を比較する。
これが、人口減少時代の実家相続では重要になるのではないでしょうか。



