地域分析記事

地域の暮らしと地域課題を数学とデータで考える

千葉県の人口は初めて減ったのに、なぜ世帯数は増えているのか

- Posted in 地域データ分析 by

 人口が減れば、暮らす家族の数も減り、住宅は余り、町は次第に静かになっていく。人口減少という言葉から、私たちはそんな風景を思い浮かべることが多い。ところが、千葉県で起きている変化を統計から読み解くと、必ずしもそのような単純な縮小では説明できない現実が見えてくる。人口が減っているにもかかわらず、生活を営む世帯の数は増え続けているのである。

 2026年9月29日に公表された2025年国勢調査の確報によると、千葉県の人口は625万7,225人となり、2020年の628万4,480人から2万7,255人減少した。1920年に始まった国勢調査で、千葉県の人口が前回調査を下回ったのは初めてである。ところが、同じ5年間に世帯数は277万3,840世帯から288万8,950世帯へ、11万5,110世帯も増加していた。人口が0.43%減少する一方、世帯数は4.15%増加するという、一見すると矛盾する動きが起きていたのである。

 人口が減っているのに、なぜ世帯が増えるのだろうか。新しい住民が都市部へ集まっているからなのか、高齢者の1人暮らしが増えたからなのか、それとも家族の暮らし方そのものが変わったからなのか。さらに考えてみると、同じ住宅に住んでいても、世帯だけが増える場合があるという問題にも行き当たる。世帯数の増加を単純に新しい住宅や家族の増加と考えてしまうと、実際の生活の変化を見誤る可能性があるのである。

人口は減った。しかし、暮らしの単位は増えていた

 今回の国勢調査について、最初に確認しておきたいことがある。「千葉県の人口が初めて減少した」という表現は、国勢調査の前回比で初めて減少したという意味であり、千葉県の人口が歴史上、一度も減少したことがなかったという意味ではない。毎月の人口移動などを基に推計する千葉県毎月常住人口調査では、2011年にも年間の人口減少が確認されている。したがって、2025年の結果は、5年ごとに実施される国勢調査という統一した基準で、長く続いてきた人口増加が初めて減少へ転じたことを示している。

 また、2026年5月に公表された千葉県の速報値では人口625万8,512人、世帯数287万5,923世帯とされていたが、その後の調査票の精査を経て、9月29日に確報値が公表された。本稿では確報値を使用し、速報値と混在させないこととする。調査時点が同じであっても、速報と確報では人口や世帯数が異なる場合があり、増減率や地域間比較の精度を保つためには同じ集計段階の数値を用いる必要があるからである。

 それでは、人口と世帯数が反対方向に動く理由は何だろうか。その答えを考えるには、人口と世帯が異なるものを数えていることを理解しなければならない。人口は地域に暮らす人の数であるのに対し、世帯は生活を営む単位を数えるものであり、1人で構成される世帯も、夫婦2人の世帯も、親子4人の世帯も、それぞれ1世帯として数えられる。つまり、人口が同じであっても、以前より少人数の世帯に分かれるようになれば世帯数は増加するのである。

 例えば、親子3世代が一緒に暮らしていた家庭から子どもが独立し、別の住宅で生活するようになれば、家族全体の人数が変わらなくても世帯数は増える。また、夫婦2人で生活していた人々が別々に暮らすようになった場合にも、人口と世帯数の関係は変化する。ただし、こうした例は世帯数が増える仕組みを説明したものであり、千葉県で実際に何世帯が独立や離婚などによって増えたかを示すものではない。そこには、もう1つ見落としやすい世帯の仕組みがある。

1つの住宅に住んでいても、2つの世帯になることがある

 世帯数の増加を考える際に、見落としてはならないのが「世帯分離」という現象である。世帯が増えると聞くと、新しい住宅を借りたり、購入したりして、別の場所に暮らす人々を思い浮かべるかもしれない。しかし、世帯は住宅と必ずしも1対1で対応しているわけではない。同じ住宅で生活していても、生計を別にすることで、統計上は複数の世帯として扱われる場合がある。

 総務省統計局が実施する国勢調査では、原則として住居と生計を共にする人々の集まりを1つの世帯としている。例えば、親夫婦と成人した子どもが同じ住宅で暮らしていても、生活費を共にしていれば通常は1世帯となるが、親夫婦と子どもがそれぞれ独立した生計を営んでいる場合には、別々の世帯として扱われる。このように、住宅そのものが1戸のままであっても、そこに暮らす人々の生計が分かれることによって、世帯数が増える場合があるのである。

 ここで重要なのは、「同じ住宅」と「同じ建物」が必ずしも同じ意味ではないということである。国勢調査では、親夫婦と子夫婦が同じ建物に住んでいても、それぞれの居住部分が完全に仕切られ、独立した出入口や台所、トイレなど住宅として必要な条件を満たしていれば、別々の世帯として扱われる。この場合、外観上は1棟の建物であっても、住宅の戸数としては2戸に分かれている場合がある。

 これに対して、居住部分が独立した住宅としての条件を満たさず、住宅1戸を共用していても、親世代と子世代の生計が完全に分かれていれば、国勢調査では別世帯として扱われる。したがって、同じ建物で2世帯が暮らすという状態には、1棟の建物の中に独立した住宅が2戸存在する場合と、1戸の住宅を複数の世帯が共用する場合があり、住宅需要を考える際には両者を区別する必要がある。

 例えば、親夫婦2人と成人した子ども1人が1戸の住宅で生計を共にしていた場合は3人で1世帯となるが、その後、子どもが同じ住宅に住み続けながら独立した生計を営むようになれば、親夫婦の2人世帯と子どもの単独世帯として数えられる場合がある。人口は3人のままであり、住宅も1戸のままだが、世帯数は1世帯から2世帯へ増える。反対に、親世代と子世代のために住宅として独立した居住部分を2戸設けた場合には、世帯数だけでなく住宅戸数の把握にも違いが生じ得る。

 こうした仕組みを考えると、世帯数が増えたことを、そのまま新しい住宅を必要とする世帯が同じ数だけ増えたと解釈することはできない。住宅を新たに構えて独立した世帯と、住宅1戸を共用しながら生計を分けた世帯では、住宅需要への影響が異なるからである。世帯数の増加という統計の背後には、人々が住む場所を変えるという変化だけでなく、同じ場所に住み続けながら生活の単位を変えるという変化も含まれ得るのである。

住民票の世帯分離と国勢調査は、同じものを数えているのか

 さらに注意したいのは、世帯分離という言葉が、住民基本台帳上の行政手続きとしても使用されていることである。例えば千葉市では、住所を変更せず、同じ世帯の一部が新しい世帯をつくる場合に、世帯変更届による世帯分離の手続きを行う仕組みがある。親子などが同じ住所に暮らしながら、住民票上の世帯を分けるというものであり、住所の移動を伴わずに世帯の構成だけを変更することになる。

 世帯分離は社会保障制度との関係でも関心を集めることがある。介護保険制度では、介護保険施設の食費や居住費などの負担軽減について、世帯の住民税課税状況が要件の1つとなるため、世帯を分けることが負担区分に影響する場合がある。ただし、これは全国共通の介護保険制度に関する仕組みであって、千葉県独自の制度ではない。また、負担軽減の可否は世帯の課税状況だけで決まるものではなく、本人や配偶者の所得、預貯金等の資産要件なども関係する。別世帯となった配偶者についても判定対象になる場合があり、世帯分離をすれば必ず介護保険の負担が軽くなるという理解は正しくない。

 ここで問題になるのが、住民基本台帳と国勢調査では世帯の把握方法が同じではないという点である。住民基本台帳上の世帯数は住民票の記録に基づいているのに対し、国勢調査では実際にどこに住み、誰と生計を共にしているかという居住と生活の実態を基準に世帯を把握する。そのため、住民票上で世帯分離の届出を行ったという事実だけで、国勢調査の世帯数が自動的に増えるわけではない。反対に、住民票上の世帯が同じであっても、国勢調査の基準では別々の世帯として扱われる場合もある。

 したがって、千葉県の国勢調査で世帯数が11万5,110世帯増加したことを、住民票上の世帯分離の届出が同じ数だけ行われた結果だと考えることはできない。実際の生計の分離が世帯数の増加に寄与している可能性はあるものの、その規模を明らかにするには、世帯構成の変化や住宅の居住状況などをさらに詳しく分析する必要がある。住民基本台帳上の世帯分離件数が分かったとしても、その件数をそのまま国勢調査の世帯増加数へ当てはめることはできないのである。

 世帯分離は人口減少と世帯増加を考えるうえで重要な仕組みだが、今回の国勢調査の集計結果だけでは、それが全体の世帯増加にどの程度寄与したのかを数量的に確定することはできない。重要なのは、世帯数が増えたという事実と、その世帯がどのような経緯で形成されたかという問題を区別することである。

平均世帯人員が0.10人減ると、数字はどう変わるのか

 人口と世帯数の関係を数理的に確認するには、1世帯当たり何人が暮らしているのかを調べると分かりやすい。千葉県の総人口を総世帯数で割ると、2020年には約2.27人だったものが、2025年には約2.17人へ減少している。平均すると0.10人の減少にすぎないが、約289万世帯に及ぶ県全体の数字として見ると、この変化は大きな意味を持つ。

 この関係を別の角度から見るため、人口1,000人当たりの世帯数を計算してみよう。2020年には約441世帯だったものが、2025年には約462世帯へ増えている。言い換えれば、同じ1,000人が暮らしていても、以前より多くの世帯に分かれて生活する構造になっているということである。ここには、単独世帯の増加だけでなく、家族からの独立や同じ住宅内での生計の分離なども関係している可能性がある。

 さらに、2020年の平均世帯人員が2025年も変わらなかったと仮定してみる。2025年の人口625万7,225人を2020年の平均世帯人員で割ると、必要な世帯数は約276万1,810世帯となり、2020年より約1万2,030世帯少なくなる計算である。ところが、実際には288万8,950世帯が存在しており、仮定した世帯数を約12万7,140世帯も上回っている。

 つまり、2020年の平均世帯人員を固定するという条件の下では、人口減少による約1万2,030世帯の減少方向の効果を、平均世帯人員の縮小による約12万7,140世帯の増加方向の効果が上回り、差し引き11万5,110世帯の増加になったと整理できる。ただし、この約12万7,140世帯という数字は、実際にそれだけの世帯が新しく形成されたことを意味するものではなく、2020年の平均を基準にした反実仮想の計算結果である。また、人口と平均世帯人員の変化をどの順序で計算するかによって、それぞれの要因への寄与の配分は変わるため、実際の世帯形成の原因を直接示す分析ではない。

 ここで、統計上のもう1つの区別も必要になる。国勢調査では、通常の住宅などで生活する一般世帯と、社会福祉施設や病院などの施設等の世帯を区別している。2025年の千葉県では一般世帯が288万1,044世帯、施設等の世帯が7,906世帯であり、先ほどの2.17人という値は総人口を総世帯数で割ったものである。一方、一般世帯に限定した平均世帯人員は2020年の2.22人から2025年には2.12人へ減少している。住宅や家庭の生活規模を分析する際には一般世帯の平均人員を使い、人口と総世帯数の数理的な関係を分析する場合とは指標を区別する必要がある。

 こうした区別を踏まえても、結論は変わらない。千葉県では人口が減少する一方で、1世帯当たりの人数が小さくなるという変化が進んでおり、その結果として世帯数が増えているのである。ただし、平均世帯人員は人口と世帯数から求められる指標であり、その縮小は世帯構造の変化を数理的に表したものであって、独立した原因を直接特定したものではない。実際の理由を高齢化、独立、世帯分離、婚姻状態の変化などに何%ずつ配分できるかは、別の問題として残されている。

単独世帯が12万8,865増えた。その意味は何だろうか

 それでは、実際にどのような世帯が増えているのだろうか。2025年国勢調査の結果を一般世帯の家族類型別に見ると、単独世帯が113万2,305世帯に達しており、2020年から12万8,865世帯増加している。増加率は12.8%で、人口全体が減少していることを考えると、大きな変化である。

 ここで、単独世帯という言葉の意味を正確に理解しておく必要がある。単独世帯とは、世帯員が1人である世帯を指す。一般には1人暮らしの世帯と説明されることが多いが、必ずしも住宅1戸に1人だけが住んでいることを意味するわけではない。例えば、親と同じ住宅に住んでいても生計を別にしている成人の子どもや、友人と住宅を共用しながら生計を別にしている人は、国勢調査の基準ではそれぞれ単独世帯として扱われる場合がある。

 つまり、単独世帯の数は、生活を共にする世帯員が自分1人だけであるという世帯の構成を示すものであり、その住宅に他の人が住んでいないことまで示しているわけではない。住宅1戸を1人だけで使用する場合と、住宅1戸に複数の単独世帯が存在する場合では、必要な住宅戸数も居住環境も異なる。この区別は、今回のように世帯数の増加と住宅需要を関連付けて考える際には、特に重要になる。

 注目したいのは、一般世帯全体の増加が11万3,383世帯だったのに対し、単独世帯だけでは12万8,865世帯増えていることである。同じ一般世帯という区分の中で比較すると、単独世帯以外の世帯は差し引き1万5,482世帯減少した計算になる。家族のいる世帯がすべて減っているという意味ではなく、核家族世帯など増加している類型も存在するが、全体としては単独世帯の増加が一般世帯数の純増を上回っているのである。

 単独世帯の割合も大きくなっている。国勢調査の家族類型別集計では、家族類型が不詳の世帯を除いた一般世帯に占める単独世帯の割合は39.7%となっており、ほぼ5世帯に2世帯が単独世帯という水準に達した。なお、不詳世帯を含む一般世帯全体を分母として計算すると約39.3%となるため、39.7%という公式値を読む際には、その集計条件にも注意が必要である。

 この変化から、千葉県で生活の単位が小さくなっていることは確かだが、それをそのまま単身者向け住宅の需要増加数に置き換えることはできない。実際に別の住宅で生活を始めた人と、住宅を共用しながら生計を分けた人では、住宅需要への影響が異なるからである。単独世帯数の増加が住宅市場にどの程度影響したかを明らかにするには、世帯構成に加えて、住宅の居住形態や1住宅当たりの世帯数を詳しく調べる必要がある。

単独世帯の増加を、高齢化だけで説明できるだろうか

 単独世帯が増えたと聞くと、まず高齢者の1人暮らしを思い浮かべる人が多いかもしれない。実際、千葉県の2025年国勢調査では、65歳以上の人がいる一般世帯は114万6,507世帯となり、そのうち37万3,199世帯が単独世帯だった。65歳以上の単独世帯は2020年より5万370世帯増加しており、高齢者を世帯員とする単独世帯が拡大していることは明らかである。

 しかし、単独世帯全体の増加数12万8,865世帯から、65歳以上の単独世帯の増加数5万370世帯を差し引くと、7万8,495世帯が残る。これは65歳未満の単独世帯の純増に相当し、単独世帯増加数の約61%を占める。高齢者の単独世帯が増えていることは確かだが、それだけで千葉県の単独世帯の増加を説明することはできず、65歳未満の人々の生活単位にも大きな変化が生じているのである。

 ただし、この7万8,495世帯という数字を、若者の独立や未婚者の増加によって新しく形成された世帯の数と解釈することはできない。2020年から2025年の間には、人々の加齢、転入や転出、結婚や離婚、同居や別居、死亡などによって世帯の構成が変化しているため、2時点の集計結果だけでは、それぞれの要因が何世帯分の増加に結び付いたかを特定できないからである。

 進学や就職に伴う独立、結婚しない期間の長期化、単身赴任、離婚後の生活、親世代と子世代の生計の分離などは、単独世帯を増やす可能性のある要因として考えられる。しかし、それらが千葉県でどの程度寄与したのかを明らかにするには、年齢別の単独世帯数、婚姻状態、住宅の所有関係、人口移動、世帯分離の実態などを組み合わせた検証が必要になる。

 それでも、今回の調査から読み取れる重要な事実がある。千葉県の世帯構造の変化は、高齢化という1つの現象に還元できるものではなく、より幅広い年齢層で生活単位の小規模化が進んでいるということである。駅に近い集合住宅の1戸を1人で使用する人と、親世代と同じ住宅を共用しながら生計を分ける人では、住まい方も生活環境も異なるが、いずれも統計上は単独世帯として数えられる場合がある。その違いを理解しないまま、単独世帯の増加を単純に評価することはできないだろう。

出生数より死亡数が多い。それでも人口が増える年がある

 世帯数が増えている一方で、そもそも千葉県の人口が減少へ転じた背景には何があるのだろうか。人口の増減を考える際には、出生と死亡による自然増減と、転入や転出などによる社会増減を分けて見る必要がある。千葉県では出生数より死亡数が多い自然減が続いているものの、県外などからの人の流入による社会増が、その減少を補う年もある。

 千葉県毎月常住人口調査による2024年の人口動態では、出生数が3万5,587人、死亡数が7万5,235人で、自然減は3万9,648人に達していた。一方、転入や転出などによる社会増は4万1,078人となり、自然減を上回ったため、年間の人口は差し引き1,430人増加している。出生と死亡だけを見れば大幅な人口減少になる年であっても、人の移動によって人口が維持される場合があることを示す数字である。

 ただし、2024年の年間人口動態と、2020年から2025年の国勢調査人口の増減は、対象期間も把握方法も異なるため、そのまま結び付けて計算することはできない。2024年の数値は人口変動の仕組みを理解するためのものであり、国勢調査における5年間の人口減少数を直接分解したものではない。この区別を踏まえれば、千葉県の人口は自然減と社会増という反対方向の力を受けながら変動していると理解できる。

 2025年の国勢調査では、日本人人口が2020年との比較で10万5,346人減少した一方、外国人人口は7万8,078人増加し、24万425人となっている。外国人人口が県人口に占める割合は3.8%に達し、千葉県の人口構成を考えるうえで無視できない規模となった。なお、これらの増減数には2025年と同じ不詳補完方法で再集計した2020年の数値が使用されており、日本人・外国人の別が不詳の人口も存在するため、両者の増減を単純に足し合わせても人口総数の増減と完全には一致しない。

 外国人人口の増加が人口減少を緩和する方向に働いていることは確認できるが、それを単独世帯数の増加と直接結び付けることはできない。外国人住民についても、単身で住宅を使用する人、家族と暮らす人、複数人で住居を共用しながら生計を別にする人など生活形態はさまざまであり、人口の増加数だけから世帯構造を推定することは不適切である。

 ここまで見てくると、人口が減少する理由と世帯数が増加する理由は、必ずしも同じではないことが分かる。人口は出生、死亡、転入、転出などによって変化するのに対し、世帯数はそれらに加えて、人々がどのように生活を共にするかによっても変化する。人口と世帯の動きが一致しなくなっている背景には、こうした異なる仕組みが重なっているのである。

市川市では人口が減り、世帯が7,650増えた

 千葉県全体の変化を理解したところで、市町村別の数字に目を向けてみよう。2025年国勢調査では、県内54市町村のうち人口が増加したのは県北西部の12市であり、残る42市町村では人口が減少していた。しかし、人口が減少した自治体で必ず世帯数も減少しているわけではなく、人口と世帯数が反対方向へ動く地域が存在している。

 その典型が市川市である。2020年の人口49万6,676人は2025年に49万4,354人となり、5年間で2,322人減少した。一方、世帯数は24万2,970世帯から25万620世帯へ7,650世帯増加している。人口が0.5%程度減少するなかで世帯数は約3.1%増えており、総人口を総世帯数で割った平均世帯人員は約2.04人から約1.97人へ縮小した。人口が減少している都市でも、生活単位の小規模化が進めば世帯数が増加することを示す例である。

 同じような変化は松戸市にも見られる。2020年から2025年に人口が1,858人減少した一方、世帯数は8,720世帯増加した。市原市では人口が9,627人減りながら世帯数は2,093世帯増え、茂原市でも人口が3,211人減少する一方、世帯数は686世帯増加している。東京都心への通勤圏に位置する都市だけでなく、房総半島の内陸側にも同様の現象が生じており、人口減少と世帯増加の組み合わせが特定の都市だけに限られないことが分かる。

 一方、流山市では人口と世帯数の両方が増えている。2020年の人口19万9,849人は2025年に21万5,086人となり、5年間で1万5,237人、7.6%増加した。世帯数も8万3,115世帯から9万1,215世帯へ増加しているが、その増加率は約9.7%と人口増加率を上回っており、平均世帯人員は約2.40人から約2.36人へ縮小している。

 市川市では人口が減りながら世帯数が増え、流山市では人口も世帯数も増えている。それでも、平均世帯人員が縮小しているという点では共通しているのである。このことは、世帯の小規模化が人口減少地域だけに起きる現象ではなく、人口が増加している都市にも広がっていることを示している。

 もっとも、これらの自治体で世帯数が増加した理由を、単独世帯の増加だけで説明したり、住民票上の世帯分離が増えたためだと断定したりすることはできない。実際の背景を明らかにするには、年齢別人口、世帯の家族類型、住宅の居住形態、人口移動などを組み合わせて分析する必要がある。特に、同じ建物で暮らす人が増えたとしても、それが住宅1戸の共用なのか、建物内に独立した住宅が複数存在する状態なのかによって、住宅利用の実態は異なる。人口増減率という1つの数字だけでは、都市の生活構造の変化を十分に説明できなくなっているのである。

外房4市町では、人口と世帯の減り方が大きく違う

 県北西部から房総半島の外房地域へ目を向けると、別の姿が見えてくる。いすみ市、勝浦市、御宿町、大多喜町では、2020年から2025年に人口だけでなく世帯数も減少している。しかし、その減少率を比較すると、人口の減り方に比べて世帯数の減少は小さく、ここでも世帯の小規模化が進んでいることが分かる。

 いすみ市では人口が3万5,544人から3万2,463人へ3,081人減少し、5年間の減少率は8.7%となった。一方、世帯数は1万4,484世帯から1万4,218世帯へ266世帯減少しただけで、減少率は約1.8%にとどまる。人口は約9%減少しているのに、世帯数は約2%しか減っておらず、平均世帯人員は約2.45人から約2.28人へ縮小している。

 勝浦市でも同様の傾向が確認できる。人口は1万6,927人から1万5,101人へ減少し、減少率は10.8%だったが、世帯数は8,192世帯から7,872世帯へ約3.9%減少したにすぎない。平均世帯人員は約2.07人から約1.92人となり、総人口を総世帯数で割った値は2人を下回っている。これは一般世帯に限定した平均人員とは異なる指標だが、2020年と2025年で同じ計算方法を用いることによって、地域内で生活単位が小さくなっている傾向を確認できる。

 御宿町では人口が6,874人から6,332人へ7.9%減少したのに対し、世帯数は3,092世帯から3,053世帯へ39世帯、約1.3%の減少にとどまった。大多喜町でも人口は8,885人から7,784人へ12.4%減少したが、世帯数の減少率は約6.9%だった。人口の減少率には自治体ごとに差があるものの、人口と世帯数の減少速度が一致していないという点では共通している。

 この4市町を合計すると、2020年の人口6万8,230人は2025年に6万1,680人となり、5年間で6,550人、約9.6%減少している。一方、世帯数は2万9,169世帯から2万8,310世帯へ859世帯、約2.9%の減少にとどまる。平均世帯人員も約2.34人から約2.18人へ縮小しており、人口が約1割減った地域であっても、生活を営む世帯の数はそれほど減っていないという特徴が見えてくる。

 さらに、長南町では人口が7,198人から6,691人へ507人減少したにもかかわらず、世帯数は2,636世帯から2,662世帯へ26世帯増加している。人口減少と世帯増加という現象は、人口規模の大きい都市だけでなく、比較的小規模な町でも起こり得るのである。

 外房地域のこうした変化を、単に高齢者の1人暮らしが増えた結果と考えることはできない。親世代と子世代の生活単位の変化、若年者の転出、配偶者との死別、同じ住宅内での生計の分離など、複数の要因が重なっている可能性がある。例えば、地域の人口が減少しても、残された家族がそれぞれ独立した生計を営むようになれば、世帯数は人口ほどには減らない場合がある。しかし、そのような変化が実際にどの程度起きているのかを確認するには、世帯の家族類型や居住形態をより詳しく調べる必要がある。

 ここで重要なのは、外房地域の人口減少が、必ずしも生活する世帯の同じ割合での減少を意味しないことである。人口が減少しても住宅や生活の単位は相対的に多く残り、それぞれが少人数で暮らす方向へ変化している可能性がある。ただし、世帯が多く残ることと、使用されている住宅の戸数が同じように維持されることは別の問題であり、住宅1戸当たりの世帯数や居住形態を確認しなければならない。この現象は、地域の住宅政策や行政サービスを考える際にも無視できない問題になる。

世帯が増えているのに、空き家も増えるのはなぜか

 世帯数が増加するということは、それだけ住宅の需要が増えているのではないかと考えたくなる。しかし、千葉県の住宅事情を見ると、ここにも単純には説明できない数字が存在する。2023年の住宅・土地統計調査によると、千葉県の住宅総数は319万1,100戸で、空き家は39万4,100戸、空き家率は12.3%となっている。

 2018年の空き家数は38万2,500戸だったため、5年間で1万1,600戸増えたことになる。ただし、空き家率は2018年の約12.6%から2023年の12.3%へ低下しており、空き家の戸数は増えたものの、住宅総数に占める割合は下がっている。この違いは重要であり、空き家数が増えたことだけをもって、住宅全体の空き家化が同じ速度で進んでいると判断することはできない。

 さらに、空き家39万4,100戸の中には、賃貸用や売却用の住宅、別荘などの二次的住宅も含まれている。これらを除いた「その他の空き家」は15万8,500戸で、2018年から1万4,100戸増加している。空き家の総数だけでなく、利用目的による区分を確認することによって、地域に残された住宅がどのような性質を持つのかを考えることができる。

 なお、住宅・土地統計調査は標本調査に基づく推計統計であり、国勢調査とは調査年も調査対象も世帯の定義も異なる。そのため、2023年の住宅総数と2025年の国勢調査世帯数を単純に差し引いて空き家数を算出することはできない。また、住宅・土地統計調査でも、住宅1戸に2世帯以上が暮らす場合を想定して、主世帯と同居世帯を区別している。これは、住宅戸数と世帯数が必ずしも一致しないことを理解するうえで重要な区分である。

 ここでも、「住宅」と「建物」を区別する必要がある。例えば、1棟の建物の中に住宅として独立した住戸が2戸あれば、建物は1棟でも住宅は2戸として数えられる場合がある。一方、住宅としては1戸であっても、内部で複数の世帯が生計を別にして暮らしている場合には、住宅戸数と世帯数が一致しない。住宅の供給量を分析する際には、建物の棟数、住宅の戸数、実際に居住する世帯数を混同してはならないのである。

 この点で、世帯分離という現象は住宅需要を考えるうえで重要な意味を持つ。住宅1戸で生活している親子が別々の生計を営むようになり、国勢調査で別世帯として扱われる場合には、世帯数が増えても住宅は1戸のままである。反対に、独立した住宅へ移り住んで新しい世帯を形成した場合には、世帯数の増加とともに住宅への新たな需要が生じることもある。両者を区別しなければ、世帯数の増加を住宅不足や住宅需要の拡大へ直接結び付けてしまう危険がある。

 さらに、住宅は県内のどこにあっても同じ価値を持つわけではない。交通機関、医療機関、商業施設、仕事先などとの位置関係によって、居住地としての利便性が変わる。単独世帯が駅に近い住宅を求めていても、離れた地域にある空き家がその需要をそのまま満たすとは限らない。家族で暮らしていた住宅が1人で使うには広すぎたり、古い住宅の改修費用が大きかったりすれば、住宅が存在していても利用が進まない可能性がある。

 ただし、こうした住宅需要と供給の不一致は説明上の仮説であり、今回の県全体の統計だけで千葉県の空き家増加の原因別割合まで明らかになるわけではない。実際にどの地域で住宅が不足し、どこで余っているのかを評価するには、住宅の立地、築年数、所有関係、居住状況、世帯の年齢構成などを組み合わせた分析が必要になる。

 人口が減ったから住宅を減らせばよいという判断も、世帯数が増えたから新築住宅を増やせばよいという判断も、どちらも十分ではない。世帯数は生活単位の数を示すものであって、住宅の必要戸数を直接示すものではないからである。

人が減っても、行政の仕事は同じ割合で減るとは限らない

 人口と世帯数の変化は、住宅だけでなく、自治体の行政サービスにも関係してくる。人口が減少すれば行政サービスの対象者も減り、支出も小さくできると考えるのは自然かもしれないが、現実の行政需要は人口だけで決まるものではない。住民への通知や相談、生活支援、防災情報の伝達などには世帯単位の対応が必要となるものもあり、地域に暮らす人の数が減っても、対応すべき世帯数は同じ割合で減るとは限らないのである。

 例えば、いすみ市では2020年から2025年に人口が約8.7%減少したのに対し、世帯数の減少率は約1.8%だった。人口に比例する行政需要が減少する一方、世帯単位で発生する事務や情報伝達の対象はそれほど減っていない可能性がある。ただし、行政業務の多くは人口と世帯数だけでなく、個人の状況、施設配置、業務の効率化などによっても変わるため、この数字だけから行政職員の必要人数や行政費用の増減を計算することはできない。

 ここでも、国勢調査と住民基本台帳の違いに注意する必要がある。住民票上の世帯分離が行われれば、住民基本台帳に基づいて世帯単位で処理する行政事務に影響する場合がある一方、国勢調査で別世帯と認定されたことが、そのまま行政手続き上の世帯の変更になるわけではない。世帯を単位として扱う制度であっても、住民基本台帳、税制度、介護保険、各種給付制度などでは判定の基準が異なる場合があるため、統計上の世帯数の増加を行政事務量の増加へ直接換算することは適切ではないのである。

 さらに、住宅や道路が広く分散している地域では、人口が減っても生活基盤の維持に必要な空間が同じ割合で小さくなるとは限らない。道路、橋、水道施設、公共施設などは住民が一定数減少したからといって直ちに廃止できるものではなく、利用人口や施設配置によって1人当たりの維持管理負担が変化することも考えられる。そのため、行政需要を評価する際には、人口1人当たりの費用だけでなく、道路1キロメートル当たりの沿道人口、住宅が分布する面積当たりの世帯数、施設の利用者数など、地域の条件に合った指標を用いる必要がある。

 高齢者の単独世帯の増加も、行政サービスを考えるうえでは重要になる。千葉県では65歳以上の人がいる一般世帯が114万6,507世帯あり、そのうち37万3,199世帯が単独世帯である。ただし、単独世帯だからといって、住宅1戸に完全に1人だけで暮らしているとは限らず、家族などと住宅を共用しながら生計を分けている場合もあり得る。したがって、単独世帯という数字だけで日常的な見守りの有無や支援の必要性を判断することはできない。

 高齢者が単独世帯を形成しているというだけで支援を必要とするわけではないが、病気や災害などが発生した場合に、同じ世帯に他の構成員がいないことによって支援上の課題が生じる可能性はある。特に医療機関や公共交通へのアクセスが限られる地域では、年齢や世帯構成だけでなく、実際に誰と住宅を共用しているか、利用できる交通手段があるか、近隣に支援を求められる人がいるかといった生活の実態を確認する必要があるだろう。

 ただし、単独世帯が増えたこと自体が行政費用を増加させると断定するのも適切ではない。世帯が小規模になることで必要な対応が増える分野も考えられる一方、人口減少や業務の効率化によって負担が軽くなる分野もあり得る。費用への影響を評価するためには、実際の業務量、施設運営費、人件費などを用いた検証が必要であり、世帯構造の変化はその分析に加えるべき重要な条件の1つなのである。

世帯数が増えた理由を、どこまで数字で説明できるのか

 ここまで人口減少、単独世帯の増加、世帯分離、住宅需要、行政サービスとの関係を見てきたが、改めて考えたいことがある。千葉県の世帯数が増加した理由を、現在の統計からどこまで明らかにできるのだろうか。

 人口が減少する一方で平均世帯人員が小さくなり、結果として世帯数が増加したことは、国勢調査の数字から直接確認できる。また、一般世帯の増加を上回る単独世帯の増加が生じていることや、65歳以上だけでなく65歳未満の単独世帯も増えていることも確認できる。これらは推測ではなく、統計によって裏付けられた変化である。

 しかし、平均世帯人員が縮小した原因を、家族からの独立、婚姻状態の変化、配偶者との死別、同じ住宅内での生計の分離、住民票上の世帯分離などに分け、それぞれ何世帯分の増加に寄与したかを示すことは、現在確認した集計結果だけではできない。住民基本台帳上の世帯分離件数を調べたとしても、それが国勢調査上の世帯増加にどの程度対応するかは別途検証する必要がある。

 さらに、住宅との関係を分析する際には、世帯と住宅の対応を調べることが欠かせない。住宅1戸に1世帯が暮らす場合、住宅1戸に複数の世帯が暮らす場合、同じ建物の中に独立した住宅が複数存在する場合では、住宅の供給と利用の実態が異なる。また、単独世帯という分類も、その人が住宅を1戸占有していることを意味しないため、世帯数や単独世帯数の増加を住宅需要へ換算する場合には、居住形態の違いを考慮する必要がある。

 例えば、住宅1戸の中で生計の分離が実際に増えていたとしても、どの年齢層で、どの程度発生しているのかは、平均世帯人員の変化だけでは分からない。反対に、若い世代が独立した住宅へ移り、単独世帯として生活するようになった場合には、住宅需要や人口移動にも異なる影響が現れる。どちらも世帯数を増加させる方向に働く可能性があるが、その社会的な意味は同じではないのである。

 この違いを明らかにするには、国勢調査の家族類型別・年齢別の世帯数に加え、住宅の居住形態、1住宅当たりの世帯数、住民基本台帳の世帯異動、人口移動などの情報を組み合わせて分析する必要がある。ただし、異なる統計は対象や定義、調査方法が必ずしも一致していないため、単純に数値を足し合わせたり、差し引いたりするだけで原因を特定することはできない。

 世帯数が増えたという結果は明確であっても、そのすべての原因が判明したわけではない。この区別こそ、人口統計を地域政策へ活用する際に欠かせない視点なのである。

人口減少率だけで、地域の将来を判断できるのか

 人口減少について議論するとき、何人減ったか、何%減少したかという数字が注目されることが多い。人口推計は自治体の将来を考えるための重要な資料だが、それだけで地域の生活環境まで評価できるわけではない。同じ人口減少率の自治体であっても、世帯数や平均世帯人員の変化が異なれば、住宅、交通、医療、介護、防災などに求められる対応も異なってくる可能性がある。

 例えば、人口が減っても世帯数がほとんど減らない自治体では、少人数で暮らす世帯が増えているかどうかを調べる必要がある。一方、人口と世帯数が共に急減している地域では、住宅の利用状況や公共施設の需要、住民の居住分布などを併せて確認することが重要になる。人口が減ったという同じ現象であっても、暮らし方の変化と地域空間の変化が異なれば、必要な政策も同じにはならないのである。

 千葉県内の地域を分析する場合、人口増減率に世帯増減率と平均世帯人員の変化を重ねるだけでも、人口統計から得られる情報は豊かになる。さらに、年齢別の単独世帯の割合、高齢者のみで暮らす世帯の割合、住宅の空き家率、医療機関までの距離、公共交通の運行状況などを組み合わせれば、人口減少が具体的にどのような生活上の課題へつながる可能性があるのかを考えやすくなる。

 そこに、世帯分離や同居形態という視点を加えることも重要になる。世帯数が増えていても、住民が新たに住宅を構えているとは限らず、既存住宅の中で生計の単位が変化している場合もあるからである。住宅需要を考える場合には実際に使用されている住宅の戸数や居住形態を確認し、行政サービスを考える場合には制度上どのような世帯区分が用いられているのかを確認する必要がある。人口と世帯数だけでは見えてこない違いが、政策の評価を左右するのである。

 もっとも、こうした指標を増やせば自動的に政策の正解が見つかるわけではない。例えば、単独世帯の割合が高い地域でも、交通が便利で生活サービスが充実していれば、少人数での生活を続けやすい環境が整っている可能性がある。反対に、単独世帯の割合がそれほど高くなくても、住民が広い地域に分散していたり、交通や医療へのアクセスが限られていたりすれば、別の課題が生じることも考えられる。重要なのは、数字の大小だけで地域の優劣を判断するのではなく、その数字がどのような生活環境の下で生じているのかを調べることである。

 人口減少の対策を考えるとき、人口を増やすことだけを目標にすると、すでに地域で暮らしている人々の生活の変化を見落とすおそれがある。転入者を増やす政策と、少人数で暮らす住民の生活を支える政策は対立するものではなく、地域の実情によっては両方が必要になる。人口増加を目指すこと自体が間違いなのではなく、それだけでは自治体の将来を十分に評価できないということである。

減っているのは人の数、変わっているのは暮らしの形

 千葉県の人口が国勢調査で初めて減少したという事実は、長く続いてきた人口増加の歴史が転換点を迎えたことを示している。しかし、その隣にある世帯数の増加という数字を見れば、千葉県の地域社会が単純に小さくなっているわけではないことにも気付く。人口が減っていても、暮らしの単位は増えることがあり、その背景には単独世帯の増加や世帯規模の縮小という、人口総数だけでは表れない変化が存在している。

 2020年から2025年の5年間で人口は2万7,255人減ったが、総世帯数は11万5,110世帯増え、一般世帯のうち単独世帯は12万8,865世帯増加した。高齢者の単独世帯が増えているだけではなく、65歳未満の単独世帯も増加しており、生活単位の小規模化が幅広い年齢層に及んでいることが分かる。こうした変化は人口の増加する流山市にも、人口が減る市川市や茂原市にも、人口減少が速く進む外房地域にも、それぞれ異なる形で表れている。

 そして、世帯数を考えるうえでは、同じ住宅に暮らしながら生計を分けるという世帯分離の仕組みも忘れてはならない。国勢調査で世帯数が増えたという事実は、新しい住宅に移り住む人々だけが増えたことを意味するものではなく、住む場所を変えずに生活の単位が変化した場合も含まれ得る。また、単独世帯は住宅1戸に1人だけが住むことを意味するものではなく、同じ建物と同じ住宅も異なる概念である。こうした統計上の定義を理解することによって初めて、世帯数という数字が何を示しているのかを正確に捉えることができる。

 人口減少と世帯増加が同時に起きていることは、統計上の矛盾ではない。人口は人の数を示し、世帯は生活を営む単位を示しているため、両者が異なる方向へ動くことは十分にあり得る。問題は、これまで人口の増減を中心に考えてきた地域政策が、こうした生活単位の変化をどこまで捉えられているかということである。

 世帯数が増えているからといって、その地域の暮らしが豊かになっているとは限らず、人口が減っているからといって、住宅や行政サービスの必要性が同じ割合で小さくなるわけでもない。世帯の人数だけでなく、生計の独立、住宅の利用状況、家族との関係、生活サービスへのアクセスなどを併せて見ることによって初めて、地域で暮らす人々の現実に近づくことができるのである。

 千葉県の人口減少を伝える数字の背後には、家族で暮らす生活、住宅を1戸使用して1人で暮らす生活、同じ住宅を他の人と共用しながら生計を別にする生活など、さまざまな暮らし方が存在している。そして、その変化は都市部の集合住宅にも、房総半島の戸建て住宅にも、それぞれ異なる条件の下で表れている。これからの地域社会を考えるうえで問われるのは、人口を何人増やせるかということだけではなく、人々の暮らしの単位が変化する社会に、住宅や交通、医療、行政サービスをどのように適応させていくかということだろう。

 人口が減ったのに世帯数が増えたという数字は、千葉県の暮らしが新しい段階に入りつつあることを示している。人口の増減だけを追う時代から、人々がどのような単位で暮らし、その生活を地域がどのように支えているのかを考える時代へ。今回の国勢調査は、その転換を読み解くための重要な手掛かりを示しているのである。

地域の課題を、自分の判断に置き換えて考える

弊社では、住まい・車・移住などの大きな選択を、 費用や将来条件をもとに数字で比較し、判断できる形に整理しています。

数字で比較するサービスを見る