地域分析記事

地域の暮らしと地域課題を数学とデータで考える

雨が増えたから水害が増えた、それだけでは説明できない

 近年、短時間に猛烈な雨が降る場面が珍しくなくなった。気象庁の統計でも、1時間に50mm以上の雨が降る回数は、1976年から1985年までの平均と比べて、2015年から2024年には約1.5倍に増えている。1時間80mm以上では約1.7倍、100mm以上では約1.8倍となっており、短時間強雨そのものが増えているという認識には、統計的な裏付けがある。

 そのため豪雨による浸水が起きると、もっと太い排水管を造るべきだ、地下に大きな貯留施設を設けるべきだ、強力なポンプを増設すべきだという議論が出てくる。もちろん、既存の排水能力そのものを超える雨が降っているなら、こうした設備増強は不可欠になる。

 しかし、浸水が起きた場所を詳しく見ていくと、問題は必ずしも設備の大きさだけではない。道路脇の側溝に泥がたまり、集水ますが落ち葉で覆われ、草が流入口を塞いでいることで、地下に十分な排水管があっても雨水がそこへ入れない場合があるからである。

 つまり豪雨対策では、地下に何があるかだけではなく、地表の水がそこへきちんと入れる状態になっているかも同じくらい重要になる。巨大な設備があっても入口が塞がっていれば、その能力は十分に使われない。

排水能力は、最も弱い場所で決まる

 排水システムの仕組みは、難しい計算をしなくても概念的には理解できる。道路の側溝や集水ますから水を取り込む能力、地下の排水管が水を流す能力、さらにその先でポンプや河川へ放流する能力があり、実際の排水能力は、その中で最も小さい能力に制約される。

 たとえば、側溝や集水ますから毎秒40の水しか取り込めないのに、地下管路が毎秒100、下流施設が毎秒120を処理できるとする。この場合、実際に流せる量は毎秒40にすぎないため、地下管を100から150へ拡張しても、入口が40のままなら排水能力はほとんど改善しない。

 反対に、側溝や集水ますが毎秒120を取り込めても、地下管路が毎秒50しか流せないなら、この地域では側溝をいくら清掃しても実効能力は50を超えないため、管路や貯留施設の増強が必要になる。

 豪雨対策で最初に考えるべきことは、「大型設備か清掃か」という二者択一ではなく、排水システムのどこが最も弱い部分になっているのかということである。水理学的にいえば、ボトルネックがどこにあるのかを確かめなければ、対策費をかけても期待した効果が得られない可能性がある。

側溝や集水ますの詰まりは、実際に排水能力を大きく落とす

 側溝や集水ますの清掃が重要だという話は、単なる経験論ではない。近年の研究では、雨水流入口の閉塞によって水を取り込む能力が実際に低下することが確認されている。

 ある都市規模の研究では、多数の流入口を調査した結果、閉塞が軽い場合でも雨水の捕捉量が約7%低下し、深刻な閉塞では約50%低下する場合が示された。これは、地下の排水管に余力があったとしても、地表からそこへ入る経路が塞がれていれば、実際に利用できる排水能力が大きく低下することを意味している。

 別の研究でも、流入口や管路の閉塞が大きくなるほど、浸水範囲や浸水深が増加する傾向が確認されている。したがって、落ち葉や泥、ごみ、草による閉塞が浸水を悪化させるという考え方そのものには、十分な科学的根拠がある。

 もっとも、ここで注意しなければならないのは、閉塞を除けば浸水がすべて解決するわけではないということである。流入口をきれいにして大量の水を地下へ送れるようになっても、その先の排水管がすでに限界なら、水はそこで詰まる。

 清掃によって大きな効果が出るのは、側溝や集水ますの閉塞が実際のボトルネックになっている場所である。逆に、管路容量やポンプ能力そのものが不足している場所では、大型施設の増強が必要になる。

豪雨の日に突然、排水能力が失われるわけではない

 側溝や集水ますの詰まりは、一晩で起きるわけではない。晴れた日が続く間に少しずつ砂がたまり、落ち葉が重なり、草が伸び、その上にごみが引っかかる。普段は雨が少ないため、その変化に誰も気付かず、道路も普通に使えている。

 ところが短時間に強い雨が降ると、それまで見えなかった小さな変化が一気に表面化する。道路に降った水が集水ますへ入れなくなれば、地形の低い方向へ流れ始め、交差点や住宅地のくぼ地に集まることで、住民から見れば突然の浸水として現れる。

 しかし、浸水が突然起きたとしても、原因のすべてがその日に生まれたわけではない。何か月もかけて蓄積していた泥や落ち葉が、豪雨によって初めて問題として見えるようになっただけかもしれない。

 防災の難しさはここにある。災害が発生している時間は数時間でも、災害への備えは1年中続いているため、豪雨対策とは雨が降っている最中の仕事だけではなく、雨が降っていない日に排水機能を維持する仕事でもある。

すべての側溝を同じ頻度で掃除する必要はない

 側溝や集水ますを清掃すればよいといっても、地域内のすべての場所を同じ頻度で管理するのは現実的ではない。人員にも予算にも限界があり、高齢化が進む地域では、住民が重い側溝のふたを持ち上げて泥をすくうこと自体が難しくなっている。

 そこで重要になるのが、どこを優先して管理するかという考え方である。研究の中には、都市内の流入口を分析した結果、重要度の高い上位約25%の流入口が、表面を流れる雨水の約70%を処理していたという結果もある。

 もちろん、この70%と25%という数字をそのまま日本全国の自治体に当てはめることはできない。地形や土地利用、道路勾配、降雨特性が違えば結果も変わるが、それでも「すべての流入口が同じ役割を持っているわけではない」という考え方は重要である。

 過去に何度も水がたまった交差点、周囲より低い道路、落ち葉が集まりやすい場所、道路勾配の変化する場所、広い集水域から雨水が集中する場所を先に点検すれば、限られた人員でも防災効果を高められる可能性がある。

 つまり、必要なのは単純な側溝清掃の回数を増やすことではなく、危険度の高い場所を特定し、重点的に維持管理することである。

問題は「誰が掃除するのか」というところに移っていく

 側溝や集水ますの維持が重要だとしても、それを住民任せにすればよいわけではない。高齢者が多い地域では、側溝のふたを持ち上げることや、泥を運び出すことには危険が伴い、交通量の多い道路での作業はさらに危険になる。

 そのため本当に必要なのは、「地域で掃除しましょう」という呼びかけだけではなく、誰が点検し、誰が作業し、どの場所をどの頻度で見て、異常を見つけた場合にどこへ連絡するのかという仕組みをつくることである。

 この問題は、日本の地方自治体にとってすでに現実の課題になっている。国の資料では、地方公共団体の下水道担当職員はピーク時と比べて約6割まで減少しており、特に人口規模の小さい自治体では、少人数で多くの施設を維持している場合が少なくない。

 市区町村の土木部門全体を見ても、職員数は長期的に減少傾向にあり、技術系職員が5人以下しかいない自治体も多い。施設そのものが残っていても、それを点検し、異常を見つけ、補修する人が不足すれば、地域全体の防災力は低下していく。

 これまで社会基盤といえば、道路、橋、河川、下水道といった構造物そのものを指すことが多かったが、人口減少社会では、その構造物を維持する人材まで含めて社会基盤と考える必要がある。

大きな設備と日常管理は競争相手ではない

 ここまで読むと、巨大な排水施設を造るより、側溝を掃除する人を増やした方がよいように感じるかもしれないが、科学的にはそこまで単純ではない。

 大型施設と維持管理は、どちらか一方を選ぶものではない。大型施設は排水能力の上限を引き上げ、維持管理はその能力を現実に使える状態に保つという、異なる役割を持っている。

 たとえば、自動車に高性能なエンジンを積んでも、タイヤの空気が抜け、オイルも交換されていなければ十分に走れない。しかし、整備さえすれば小さなエンジンでも高速道路を速く走れるということにはならない。

 排水設備も同じである。側溝や集水ますを清掃することで本来の能力を回復できる地域もあれば、管路やポンプの能力そのものが不足しているため、大規模な設備増強が避けられない地域もある。

 重要なのは、大型設備を造る前に、既存の排水システムが本来の能力を発揮しているのかを確かめることである。閉塞によって能力を失っているのなら、まずそれを回復させる方が合理的であり、それでも浸水するなら、その時点で設備能力そのものの不足を検討すればよい。

「大型設備は高い、人を置く方が安い」とは単純に言えない

 豪雨対策では、設備を造るより人を配置した方が安いと思われがちだが、これも単純には比較できない。仮に排水施設の改良に5,000万円かかったとしても、その設備を50年間使用できるなら、単純平均では年間100万円相当になる。

 一方で、維持管理要員を1人配置し、人件費や車両費、資材費を含めて年間500万円かかれば、50年間では2億5,000万円になる。実際には設備の修繕費、人件費の変化、物価上昇、金利、浸水による被害軽減額などを考慮しなければならないため、どちらが安いかは地域ごとに異なる。

 したがって、「大きな設備を造るより人を確保した方が安い」と一般化するのは適切ではない。より正確なのは、大きな設備投資をする前に、今ある排水設備が閉塞によって能力を失っていないかを確認し、その回復に必要な費用と、新しい設備を造る費用を比較することである。

 この順序で考えれば、限られた税金をどこへ使うべきかという判断も変わってくる。

これからの豪雨対策は「設備の量」より「機能しているか」を見る

 豪雨対策という言葉を聞くと、私たちはどうしても新しい排水管や地下貯留施設を想像する。しかし、地域の安全を決めるのは設備の大きさだけではなく、その設備が豪雨の瞬間に本当に機能する状態にあるかどうかである。

 大量の雨が降ったとき、道路脇の小さな集水ますが落ち葉で塞がれていれば、その先にある大きな排水管は十分に働けない。その意味では、1枚の落ち葉や数cmの泥が、数百m先の地下設備の能力を無駄にする可能性さえある。

 一方で、側溝を完璧に掃除しても地下管路の能力が足りなければ、浸水は防げない。したがって必要なのは、清掃か大型工事かを感覚で選ぶことではなく、排水経路を一つのシステムとして調べ、最も弱い場所から改善することである。

 豪雨対策で最初に問うべきことは、「何を造るか」ではない。「今ある排水設備は、本来の能力を本当に発揮できているのか」である。

豪雨対策は、雨が降っていない日に決まる

 水害が起きると、私たちは猛烈な雨やあふれる川を見て、同じように大きな対策を考えたくなる。しかし、雨水の流れをたどっていけば、その最初の入口は道路脇の小さな側溝や集水ますであり、そこで水が止まれば、その先にどれほど立派な設備があっても十分には使えない。

 だからこそ、豪雨対策で本当に必要なのは、巨大な設備か側溝清掃かという単純な選択ではなく、地域ごとに排水システムの弱点を見つけることである。入口が詰まっているなら清掃と点検体制を強化し、管路が不足しているなら増強し、下流側の能力が足りないなら貯留やポンプ設備を考える。

 その中でも、人が現場を歩き、異常を見つけ、雨が降る前に詰まりを取り除く仕事は、これから人口が減っていく地域ほど重要になる。設備だけが残り、それを維持する人がいなくなれば、社会基盤は存在していても機能しなくなるからである。

 豪雨対策は、雨が降っている日の数時間だけで決まるものではない。晴れた日に側溝をのぞき込み、泥や落ち葉を取り除き、必要な場所を記録し、その情報を次の点検につなげるという地味な作業の積み重ねによって、初めて巨大な排水設備も本来の力を発揮する。

 大きな排水施設を造る前に、まず側溝を掃除する人を確保する方が先なのか。その答えは、地域によって違う。

 しかし、どの地域にも共通する原則がある。最初に確認すべきなのは設備の大きさではなく、雨水が入口から出口まで滞りなく流れる状態になっているかどうかであり、豪雨対策の本当の出発点は、そこにある。

地域の課題を、自分の判断に置き換えて考える

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 地域の風景から田んぼが減っていくとき、その変化は農業の衰退や景観の変化として語られることが少なくありません。しかし、水の流れという視点から考えると、水田の減少は農業だけの問題ではありません。水田は米を生産する農地であると同時に、降った雨を一時的に受け止め、排水路や河川へ流れ込む水の量と時間を調整する機能を持っているためです。

 水田が住宅地や駐車場、道路などに変わると、同じ量の雨が降っても、地域の排水の仕方が変化する場合があります。重要なのは雨の総量だけでなく、雨水がどのくらいの時間で排水路へ到達し、どの時点で流量が最大になるかという点です。地域の浸水リスクは降水量だけで決まるのではなく、土地の状態、排水施設の能力、河川の水位などが複雑に関係して決まります。

 もっとも、水田がなくなれば必ず洪水が増えるという単純な関係が成立するわけではありません。水田の貯留能力には限界があり、宅地化に伴う雨水流出対策も制度化されています。水田が地域の排水にどのような役割を果たしているのかを正確に理解するためには、水文学的な仕組みだけでなく、数理的な評価、実際の研究結果、土地利用に関する制度まで含めて検討する必要があります。

水田は雨を消すのではなく、一時的に受け止めている

 水田には、周囲を囲む畦と排水口があり、雨水を一定時間とどめる構造があります。農林水産省や農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)は、この仕組みによって水田が洪水の防止や軽減に寄与する機能を持つと説明しています。ただし、水田は雨を消滅させる施設ではなく、降った雨を一時的に貯留し、その後、浸透や排水によって水を移動させる場所です。

 水田に降った雨の一部は土壌へ浸透し、一部は田面に貯留され、残った水は排水口や畦を越えて水路へ流れ出します。このとき、水田から排出される水量は、降雨強度だけでなく、降雨前の水位、畦の高さ、土壌の状態、排水口の構造などによって変わります。したがって、水田の治水機能を評価する場合には、雨水がどれほど地下へ浸透するかという点だけでなく、どの程度の水を一時的に貯留できるか、どのような速度で排水されるかを考えることが重要です。

 特に水稲栽培中の水田では、代かきによって土壌の透水性が低下したり、耕盤と呼ばれる比較的水を通しにくい層が形成されたりすることがあります。このため、水田は森林や畑と同じように雨水が大量に地下へ浸透する土地とは限りません。水田に特徴的な洪水緩和機能は、畦に囲まれた地表面での貯留と、排水口を通した流出の調整によって説明する方が適切です。

田んぼは実際にどのくらいの雨水を貯められるのか

 水田の貯留機能は、面積と水深を使って概算できます。例えば、面積1ヘクタール、つまり1万平方メートルの水田で、雨水を追加的に10センチメートル貯められると仮定すると、その貯留量は1,000立方メートルになります。これは水の質量に換算すると約1,000トンに相当し、水田が一定の条件で相当量の雨水を一時的に保持できることを示しています。

 ただし、この1,000立方メートルという数字は、実際の水田がいつでも利用できる貯留容量を意味するものではありません。既に田面に水が張られていれば、追加的に貯められる量は少なくなりますし、畦の高さや排水口の位置によっても安全に貯留できる水深は異なります。また、水田の排水を過度に抑制すると、稲の生育や農作業に支障が生じる可能性もあるため、農業上の条件を無視して貯留量だけを増やすことはできません。

 このように、水田の洪水緩和機能は面積だけから決まるものではなく、降雨が始まる時点でどれだけの空き容量があるかによって変化します。同じ水田でも、雨が降る前の状態が異なれば、雨水を受け止める能力は違ってきます。

宅地化すると雨水の流れ方はどう変わるのか

 水田だった土地に住宅が建ち、屋根や道路、舗装された駐車場などが増えると、雨水が地中へ浸透しにくい面積が大きくなります。こうした土地は不浸透面と呼ばれ、屋根に降った雨は雨どいから排水管へ、舗装面に降った雨は側溝などへ流れやすくなります。さらに、宅地造成によって地面の勾配や排水経路が変われば、それまで水田に一時的にとどまっていた雨水の一部が、短時間で水路へ到達するようになる可能性があります。

 この変化を定量的に考える際に利用されるのが、流出係数です。流出係数とは、土地に降った雨がどの程度流出に寄与するかを表す指標であり、土地の利用形態によって異なる値が設定されます。例えば、国土交通省が特定都市河川浸水被害対策法に関連して定めている算定用の係数では、耕地や林地などが0.20、宅地が0.90、コンクリート等で舗装された土地が0.95とされています。

 この係数を使い、面積1ヘクタールの土地に1時間当たり50ミリメートルの雨が降ると仮定して、排水設計で用いられる合理式という簡易的な計算方法でピーク流量を求めると、流出係数0.20の場合は約0.028立方メートル毎秒、0.90の場合は約0.125立方メートル毎秒になります。同じ面積と降雨強度を前提にすると、計算上は約4.5倍の違いが生じることになります。

 もっとも、これは一定の仮定に基づく設計計算上の比較であり、実際の水田を宅地化すると河川のピーク流量が必ず4.5倍になるという意味ではありません。合理式は降雨強度や集水面積、流出係数などからピーク流量を概算する方法であり、水田内部の貯留、排水口からの流出時間、下流河川の水位変動などを詳細に再現するものではないからです。また、法律上の算定に使う係数も、あらゆる降雨に対して実測される流出率と一致するわけではありません。

 それでも、この計算例から分かるのは、土地利用の変化によって排水施設に流れ込む雨水の条件が大きく変わり得るということです。住宅地として整備される際に適切な雨水貯留施設や浸透施設が設けられていれば、その変化を抑制することも可能ですが、そのような対策の有無を確認せずに、水田と宅地の排水特性を同じものとして扱うことはできません。

排水問題では雨水の総量だけでなくピークが重要になる

 河川や排水路の負荷を考えるうえで重要なのが、一定時間内に流れる水量の最大値であるピーク流量です。同じ量の雨水が流出する場合でも、長い時間をかけて分散して流れる場合と、短時間に集中して流れる場合とでは、排水路の水位や流下能力に与える影響が異なります。排水路には一度に流せる水量の限界があるため、その能力を超える流入が発生すると、道路冠水や周辺への浸水につながる可能性があります。

 農林水産省が紹介している三重県津市の安濃川流域の研究は、この関係を考えるうえで参考になります。この研究では、3日間の連続雨量が10年に1回程度の規模となる降雨を想定し、現状の水田が存在する場合と、水田が全て宅地化されたと仮定した場合について、コンピュータによる洪水シミュレーションが行われました。その結果、水田が存在する条件では、宅地化した条件に比べて河川のピーク流量が低下し、そのピークが現れる時刻も遅くなることが示されています。

 ただし、これは実際に安濃川流域の水田を全て宅地化して観測した結果ではなく、一定の降雨条件と土地利用条件を設定した数値解析の結果です。したがって、この研究は水田の存在が河川の流量に影響することを示す重要な根拠にはなりますが、日本全国のどの地域でも同じ大きさの効果が得られると判断することはできません。地域ごとの地形、降雨特性、水田面積、排水施設、河川との接続状況などを考慮した検証が必要です。

上流で水を遅らせれば下流は必ず安全になるのか

 水田の流出抑制効果を考える場合には、もう一つ重要な点があります。それは、水田から流れ出す水のピークを低くすることと、河川全体のピーク流量を低下させることが、必ずしも同じではないということです。上流の水田で排水を遅らせれば、その水田の排水口では流量の集中を抑えられる可能性がありますが、さらに下流の河川では、別の支流から流れてくる水との合流によって異なる結果が生じる場合があります。

 例えば、ある水田からの排水を遅らせた結果、別の支流から流れてくる洪水のピークと重なるようになれば、下流地点での流量低減効果が小さくなることが考えられます。実際の流域では、降雨の時間的・空間的な分布、各支流の流下時間、水路や河川の貯留能力などが複雑に関係しています。このため、一つの水田で排水抑制効果が確認されたとしても、それだけで流域全体の洪水リスクが低下したと結論付けることはできません。

 この問題は、水田の治水機能を否定するものではなく、その効果を正確に評価するために必要な視点です。どの水田で、どの程度の排水を、どの時間帯に抑えることが下流の水位低下につながるのかを検討することによって、初めて流域全体として合理的な対策を考えることができます。

排水路の能力は土地利用の変化に合わせて自動的に増えるわけではない

 田んぼが住宅地や商業施設などに変わったとしても、地域に昔からある側溝、農業用排水路、小河川などの流下能力が自動的に大きくなるわけではありません。農地が広がっていた地域では、水田や水路の配置、地形の勾配などに応じて排水の仕組みが形成されてきました。そこに新しい宅地や舗装面が増え、雨水が短時間で排水路へ集まるようになると、既存施設の能力との間に不均衡が生じる可能性があります。

 このような状況では、大河川の堤防を越えるような大規模な洪水が発生していなくても、側溝や排水路から水があふれ、道路や住宅地が浸水することがあります。河川から水があふれる外水氾濫とは異なり、降った雨を地域の排水施設で十分に処理できないことなどによって発生する現象は、内水氾濫と呼ばれます。内水氾濫の発生には、降雨強度だけでなく、排水路の断面、土砂や植物による閉塞、排水ポンプの能力、排水先の河川水位なども関係しています。

 特に海岸に近い低平地では、下流の河川水位だけでなく潮位の影響も考える必要があります。満潮時などに排水先の水位が高くなれば、地域の水路から自然に水が流れ出しにくくなることがあり、排水能力が十分に発揮されない場合があります。したがって、田んぼが減少した地域で冠水が発生したとしても、その原因を土地利用の変化だけに求めるのではなく、降雨、河川水位、潮位、排水施設の状態を合わせて調べることが必要です。

一枚の田んぼの変化と流域全体の変化は区別する必要がある

 水田が一枚宅地になっただけで、直ちに地域全体の洪水リスクが大きく変わるとは限りません。一枚の水田が持つ貯留量や流出抑制効果は、その地域の集水面積や河川流量に比べれば小さい場合があり、開発に伴う排水対策によって影響が抑えられることもあります。そのため、水田の減少と冠水の発生を単純な一対一の因果関係として捉えることは適切ではありません。

 一方で、複数の土地利用変更が長期間にわたって積み重なれば、流域全体の雨水流出特性が変化する可能性があります。水田が住宅になり、別の農地が駐車場になり、道路の舗装面積が増えていくと、それぞれの土地で生じる変化が下流の同じ水路や河川に集まる場合があります。ただし、その間に雨水貯留施設や排水路の整備が行われていれば、土地利用変更による流出増加を相殺できることもあり、実際の影響は開発面積だけでは判断できません。

 ここで重要になるのが流域という考え方です。流域とは、降った雨が地形や水路によって集まり、同じ河川や水域へ流れていく範囲を指します。水は市町村の境界や土地の所有権とは無関係に移動するため、上流にある土地の利用方法が、行政区域を越えて下流の排水環境に影響する場合があります。個々の開発地の安全性だけでなく、流域全体で雨水がどのように流れるのかを考える必要があるのは、このためです。

田んぼダムは水田の貯留機能を積極的に利用する取り組み

 水田の雨水貯留機能を意識的に利用する取り組みとして、近年注目されているのが田んぼダムです。田んぼダムとは、大規模なダムを建設するのではなく、水田の排水口に調整板などを設置して、大雨の際に雨水が一度に流れ出すことを抑える方法です。通常の水田にも一定の貯留機能がありますが、排水口の流出量を調整することで、その機能をさらに活用しようとするものです。

 農研機構が紹介している水田の観測事例では、排水調整板を設置した水田のピーク排水量が、設置していない水田に比べて約40%削減されたことが報告されています。また、2024年に公表された信濃川中流域の茶郷川を対象とする数値解析研究では、主要な5つの洪水を対象に、田んぼダムによるピーク流出量の低減率が3.4%から6.6%、信濃川合流部での水位低減量が8センチメートルから20センチメートルと推定されています。

 ここで注意したいのは、約40%という値が個別の水田の排水口で観測された結果であるのに対し、3.4%から6.6%という値は河川流域を対象に計算された結果だということです。両者は対象とする範囲や評価方法が異なるため、単純に比較することはできません。一枚の水田で大きな排水抑制効果が得られたとしても、その効果が同じ割合で下流河川全体に現れるわけではないことを理解する必要があります。

 また、田んぼダムは農業者の協力や維持管理を前提とする取り組みであり、排水口を制限すれば必ず望ましい結果が得られるものでもありません。水田の水位が上がり過ぎると農作物や畦に影響する可能性があるほか、排水口の閉塞や水路の管理状態によっても効果が変わります。導入する場合には、水田ごとの条件と下流への影響を確認し、農業生産と防災の両立を図ることが重要です。

豪雨の規模によっては水田の洪水緩和効果が小さくなる

 水田の治水機能には物理的な限界があります。降雨前から水位が高い場合には追加的な貯留容量が小さくなり、降雨が続いて水位が畦の高さを超えれば、雨水は畦を越えて流れ出すことになります。さらに、排水先の水路が満水になったり、河川水位が上昇して排水が妨げられたりすれば、水田内の水位が高くなり、想定していた排水調整ができなくなる場合もあります。

 田んぼダムに関する研究でも、降雨の規模や時間分布、水田の配置、下流の排水条件によって効果が変わることが指摘されています。極端な豪雨では、貯留可能な容量を超えることで流出抑制効果が小さくなったり、条件によっては特定の排水路や地点で水位が高くなったりする可能性があります。このため、水田の存在だけを根拠に大規模な水害を防げると考えることは適切ではありません。

 水田の貯留機能は、河川改修、排水機場、調整池、雨水浸透施設などを含む複数の対策の一つとして評価すべきものです。比較的頻度の高い降雨で効果が得られたとしても、それを超える豪雨に対して同じ割合の効果が続くとは限らないため、治水計画では想定する降雨規模と施設の能力を明確にすることが求められます。

耕作放棄された田んぼは同じ機能を維持できるのか

 水田が農業に利用されなくなった場合、その土地の洪水緩和機能がどのように変化するかについても慎重な判断が必要です。水田の貯留機能は、畦、排水口、水路、土壌などの状態によって成立しているため、耕作が行われなくなって管理状態が変われば、水の流れ方も変化します。畦が崩れれば貯留能力が低下する可能性がありますし、排水路に土砂や植物が堆積すれば、反対に周辺へ水が滞留しやすくなることもあります。

 農研機構による中山間地の観測研究では、耕作放棄水田の流出特性が、土地の乾燥状態と湿潤状態によって異なることが示されています。降雨前から地下水位が高く湿潤な状態では、耕作放棄水田の総流出量やピーク流出量が耕作中の水田を上回る場合がある一方、乾燥状態では逆の関係になることも確認されています。これは、乾燥によって土壌に亀裂が生じると浸透が促進される場合があり、湿潤状態では地表を流れる水が増えやすいことなどによるものです。

 ただし、このような研究結果も、全ての耕作放棄水田にそのまま当てはまるわけではありません。土壌の種類や地形、放棄されてからの年数、植生の状態によって水の動きは異なりますし、耕作放棄地を適切に管理して雨水の一時貯留空間として利用する方法も考えられます。

 したがって、水田、耕作放棄された水田、宅地、舗装された駐車場を同じように扱うことはできません。土地利用の名称だけで治水機能を判断するのではなく、実際の土地の状態と維持管理の状況を調べる必要があります。

農地を宅地化する際には排水に関する制度も存在する

 水田の宅地化を考える際には、土地利用の変更が無制限に認められているわけではないことにも注意が必要です。農地を住宅地や駐車場などに転用する場合には、農地法第4条や第5条に基づく許可または届出などの手続きが関係し、場所によっては農業振興地域制度による制限も受けます。また、開発の規模や場所によっては、都市計画法に基づく開発許可や排水施設に関する技術基準が適用される場合があります。

 さらに、特定都市河川浸水被害対策法では、指定された流域内において、一定規模以上の雨水浸透阻害行為に許可が必要とされています。雨水浸透阻害行為とは、農地などを宅地化したり、不浸透性の材料で舗装したりすることによって、雨水が地中へ浸透しにくくなり、流出雨水量が増加するおそれのある行為です。原則として1,000平方メートル以上の対象行為には許可が必要であり、地方公共団体の条例によって500平方メートル以上1,000平方メートル未満の範囲まで規模要件が引き下げられる場合もあります。

 この制度では、対象となる開発を一律に禁止するのではなく、雨水貯留浸透施設などによって流出雨水量の増加を抑えることが求められます。つまり、現行制度には土地利用の変化に伴う排水負荷を軽減する仕組みが存在しており、宅地化によって必ず下流への流出負荷が増大するとは限りません。

 もっとも、こうした規制が適用される地域や行為の規模には条件があり、全ての小規模な土地利用変更に同じ義務が課されるわけではありません。また、設置された施設の効果は設計条件や維持管理の状態によって左右され、想定を超える豪雨では十分な抑制効果を発揮できない場合もあります。地域の排水を評価する際には、土地利用の変化だけでなく、どのような規制が適用され、どのような雨水流出対策が実施されているのかを確認することが必要です。

千葉県の一宮川流域では流域全体を対象とした対策が進められている

 千葉県内で土地利用と治水を一体的に考える事例として参考になるのが、一宮川流域の取り組みです。一宮川水系は2023年10月1日に特定都市河川として指定され、茂原市、一宮町、睦沢町、長生村、長柄町、長南町の一部が対象流域となりました。さらに、2026年3月27日には千葉県と関係6市町村が共同で一宮川流域水害対策計画を策定し、河川、下水道、流域対策などを含む浸水被害の防止・軽減に向けた取り組みが制度的に位置付けられています。

 このような取り組みは、洪水対策を河川管理者だけの問題として考えるのではなく、流域内の土地利用や雨水貯留、排水施設などを含めて検討する流域治水の考え方に沿っています。農林水産省によれば、2026年3月末時点で、全国109の一級水系における119の流域治水プロジェクトのうち110プロジェクトに、農地や農業水利施設の活用が位置付けられています。ただし、この数字は取り組みを計画に位置付けたプロジェクト数であり、田んぼダムの設置率や実際に減少した洪水被害の大きさを表すものではありません。

 一宮川の事例が示しているのは、排水問題を行政区域だけでなく河川流域という単位で考える必要性です。ただし、一宮川流域に適用されている制度が、いすみ市、勝浦市、御宿町、大多喜町などにそのまま適用されるわけではありません。各地域の排水問題を検討する際には、対象となる河川や水路、流域の指定状況、自治体の条例や開発基準をそれぞれ確認しなければなりません。

田んぼの価値は米の生産額だけでは測れない

 人口減少が進む地域では、水田を維持する経済的な合理性が問われることがあります。農業従事者の高齢化や担い手不足、生産費用の増加などによって、条件の悪い農地を従来と同じように維持することが難しくなる場合があります。しかし、水田の社会的な価値を考える場合、米の生産額や農業所得だけを基準に判断することは十分ではありません。

 水田が下流の浸水被害を軽減する機能を持っている場合、その便益を受けるのは農業者だけではなく、周辺の住宅や事業所、道路などを利用する地域住民も含まれます。経済学では、このようにある経済活動の効果が、直接の取引に参加していない第三者にも及ぶことを外部性と呼びます。水田の洪水緩和機能は、農産物の販売収入には直接反映されにくいものの、地域全体に便益をもたらす可能性があるという点で、外部経済効果の一つとして考えることができます。

 もっとも、水田に治水上の価値があることと、水田を農業用地として維持することが常に最も経済合理的であることは別の問題です。水田を維持するためには、畦や排水路の補修、草刈り、農業用施設の管理などの費用や労力が必要であり、これらは農業者や地域の関係者が負担している場合があります。したがって、水田の治水機能を無償で提供されているものとして扱うことも適切ではありません。

 地域の土地利用を経済的に評価するなら、水田を維持した場合の農業収益や管理費用と、宅地化した場合の土地利用上の便益、雨水貯留施設や排水路の整備費用、将来の浸水被害による期待損失額などを比較する必要があります。場合によっては水田の維持が合理的な選択になることもあれば、宅地化と適切な雨水流出対策を組み合わせる方が望ましい場合もあります。重要なのは、農地の保全そのものを目的化するのではなく、地域全体の費用と便益を踏まえて判断することです。

人口減少地域では農地が減ることと宅地が増えることを区別する

 人口減少地域における水田の減少を考える際には、農地が減ることと宅地が増えることを同じ現象として扱わないことも重要です。農業の担い手が減少して水田が耕作放棄される場合と、水田が住宅や商業施設に転用される場合とでは、土地の表面状態や雨水の流出経路が異なります。また、宅地の需要が減少する地域では、農地が減っても住宅地が増えるとは限らず、土地の管理状態だけが変化していく可能性もあります。

 一方で、人口が減少している地域でも、幹線道路の周辺や交通条件の良い場所では、物流施設、商業施設、駐車場、太陽光発電施設などへの土地利用変更が進む場合があります。ただし、太陽光発電施設についても、設備の設置そのものだけで雨水流出の変化を判断することはできず、造成に伴う地形の変更、地表面の締め固め、植生、排水路の整備状況などを確認する必要があります。

 このため、地域の排水環境を長期的に考えるなら、水田面積が何ヘクタール減ったかという統計だけでは不十分です。減少した水田が現在どのような土地になっているのか、どの場所で不浸透面が増えたのか、流域内の水路や河川にどのようにつながっているのかまで分析する必要があります。人口減少による土地利用の変化は一様ではなく、それぞれの地域の経済条件や立地条件によって異なるためです。

田んぼの減少が実際に浸水被害を増やしたかを調べるには

 ある地域で以前より道路冠水が増えたとしても、その原因が水田の減少によるものかどうかは、冠水の発生回数だけでは判断できません。近年の豪雨の強度や頻度、排水路の土砂堆積、河川改修、宅地造成、排水ポンプの更新など、複数の要因が同時に変化している可能性があるからです。したがって、地域の浸水被害と土地利用の関係を科学的に検証するには、長期間のデータを用いた比較が必要になります。

 まず、水田や宅地、道路などの面積が過去から現在にかけてどのように変化したかを把握し、同じ期間の降雨量、時間雨量、河川水位、冠水地点などと照合します。そのうえで、過去と現在に同程度の降雨条件を設定した場合に、水田の減少だけで流出量や浸水範囲がどの程度変化するかを数値解析することが考えられます。実際の地域分析では、降雨条件をそろえずに過去と現在の冠水件数を単純比較すると、土地利用変更の効果と豪雨そのものの影響を区別できないため、注意が必要です。

 また、排水路の管理記録や開発時の雨水対策施設の資料を確認することも重要です。水田が減った一方で調整池が整備されていれば、雨水流出の増加が抑えられている可能性がありますし、反対に水田面積が大きく変わっていなくても、排水路の閉塞や下流河川の水位上昇によって浸水が生じる場合があります。原因を特定するためには、土地利用と降雨だけでなく、地域の排水系統全体を調べる必要があります。

 地域分析において特に重要なのは、水田が何枚なくなったかという数だけでなく、その水田が流域のどこに位置していたかという点です。下流の排水能力が限られている場所につながる水田と、十分な流下能力を持つ水路につながる水田とでは、土地利用変更による影響が異なる可能性があります。同じ面積の水田であっても、その位置と排水経路によって治水上の役割は変わるため、流域内の空間的な配置を考慮することが必要です。

田んぼがなくなることの意味を地域全体から考える

 普段の晴れた日に地域を歩いていても、水田が持つ雨水貯留機能を実感する機会はほとんどありません。しかし、大雨が降ると、土地の表面状態や排水経路の違いが水の流れ方に反映されます。水田に降った雨の一部は田面にとどまり、舗装された道路の雨は側溝へ向かい、住宅の屋根に降った雨は雨どいから排水管へ流れていきます。それぞれの水が水路や河川で合流し、下流へ移動する過程によって、地域の浸水リスクが形づくられます。

 水田が減少することは、農業生産の縮小というだけでなく、地域の中に存在していた雨水の一時貯留空間や排水経路が変化することでもあります。ただし、その影響の大きさは水田の面積だけでは決まらず、降雨条件、土壌、地形、排水口、水路や河川の能力、代替となる雨水貯留施設の有無などによって異なります。水田を維持することが有効な地域もあれば、適切な排水施設を整備することで土地利用の変更と水害対策を両立できる地域もあります。

 重要なのは、田んぼを残すか開発するかという二者択一に議論を限定しないことです。農業生産の継続可能性、土地利用の需要、維持管理に必要な費用、洪水緩和による便益を総合的に評価し、どの土地をどのように利用することが地域全体にとって合理的なのかを考える必要があります。その判断には、行政、農業者、土地所有者、地域住民などが、それぞれの立場から関わることが求められます。

 地域の防災を考えるときには、堤防や排水ポンプの能力だけを見るのでは十分ではありません。田んぼ、畑、山林、住宅地、道路、排水路、河川がどのようにつながり、雨水がどこへ、どのくらいの速度で移動するのかを一つのシステムとして捉える必要があります。

 その出発点となるのは、「この場所に大雨が降ったら、水はどこへ行くのか」という問いです。田んぼがなくなることの意味は、その問いを通して初めて具体的になります。水田の洪水緩和機能を過大評価することも、農業以外の価値がないものとして過小評価することも避けながら、地域の土地利用と排水の関係を客観的に検証していくことが、これからの人口減少地域における防災と土地利用計画の重要な課題となります。

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